入れ歯が見当たらずに困っている方へ。
今回は「入れ歯の紛失が発覚したときに探すべき場所」を紹介します。
■ 本記事の内容
この記事を書いている私は歯科医師です。
10年以上、高齢者や認知症患者さんの治療をしてきました。”通院困難な人”を対象に入れ歯の治療をしつつ、大学で”高齢者の歯科治療”を教えています。
ほぼ毎日、介護施設や精神病院・急性期病院・個人宅を訪問しています。
【無くした…】入れ歯を紛失したとき探すべき場所10選【自宅・介護施設】
結論からいうと、以下の通りです。
✔︎ 入れ歯を紛失したときに探すべき場所10選
①:ゴミ箱
②:カバンやポーチの中
③:皿やコップの周辺
④:ベッドの周り
⑤:車椅子のポケット
⑥:他の部屋の洗面所
⑦:部屋の冷蔵庫
⑧:部屋の仏壇
⑨:他人の口の中
⑩:オムツの中
高齢者の医療や介護に携わっていると「入れ歯の紛失」がちょっとした事件になったことが一度はありますよね。
朝まではあったのに・・・
必死で探したけど見つからない。こんなときにかぎって発見できない。
介護施設の場合は家族がめちゃくちゃ怖かったりします。どうしようどうしよう。
なくした本人が認知症を患っていると「どこにやったの?」なんてきいても、的確な答えなんて返ってくるはずもなく、介護する側としては、焦りだけが膨れ上がって途方にくれてしまいますよね。
でもちょっと落ち着いてください。大丈夫 大丈夫。入れ歯がみつからないのは、探す場所が間違っているかもしれません。
少し深掘りしていきます。自宅・介護施設・病院、どこであっても基本は同じです。
入れ歯が見当たらなくて困っている人は、ぜひ参考にしてください。
焦る前に!まずは最後に確認できた時間を確認する。
まずは一度落ち着いて、最後に確認できた場所と時間をできる範囲で確認してください。
介護施設でも、自宅でも、外出先でもまずはこれが基本になります。
朝ごはんは装着していたのか、夜寝る前に入れ歯ケースに入っていたか。
老人ホームの場合はスタッフさん同士で、自宅の場合は家族や自分の記憶をたどりましょう。
このとき大切なことは、わからないときはわからない、とすることです。
微妙な表現は、捜索を混乱させるだけです。
入れ歯は義歯ともよばれ、取り外しのできるものです。そのためしばしば紛失が起きてしまうのです。
【入れ歯紛失】有力な発見場所10選【無くしてもあきらめない】
ひとつひとつ解説していきます。
①ゴミ箱
ティッシュに包まれ捨てられていませんか?
もしゴミ捨て場に出してしまった時は収集されていなければ探してみましょう。
②カバンやポーチの中
持ち歩いているカバンやポーチの中にひそんでいませんか?
部屋にかけてあるものもチェックしてみてください。
③皿やコップの周辺
食器の周辺に隠れていませんか?
無造作に置かれたティッシュ、コップの中を探してみましょう。
④ベッドの周り
枕カバーやシーツに紛れていませんか?
引っかかっている場合がありますので一度全部ひっぺがえしてみましょう。
⑤車椅子のポケット
車椅子の座席の下やポケットをよく確認しましたか?
特に車椅子の後ろのポケットをみてみましょう。
⑥他の部屋の洗面所
他の部屋に出入りしている可能性はありませんか?
特に認知症の人の場合、歩ける人はふらっと立ち寄ってそのまま置いてきてしうことがあります。
⑦部屋の冷蔵庫
部屋の冷蔵庫は開けてみましたか?
キンキンに冷えて発見されることがあります。
⑧部屋の仏壇
毎日の行動を思い返してみましたか?
大切なものは仏壇へ!という人は結構いらっしゃいます。
⑨他人の口の中
なくした本人だけなく、周りの人も確認しましたか?
入れ歯が1つ余っていたり、口が不自然に開いていたりする可能性があります。
⑩オムツの中
紛失発覚後、無意識に捨ててしまっていませんか?
認知症の方の場合、オムツやリハパンの中から発見したことが何度もあります。
高確率でティッシュに包まれている!
入れ歯はティッシュにくるまれていることが多いです。
認知症の進行した方は、入れ歯を異物ちしてとらえ、捨ててしまうことがあります。
そしてクシャクシャのティッシュがお盆に置かれていたた、そのまま捨ててしまいがちですよね
直接視界に入らないことが多いので、実際に触って確認しましょう。
紛失した入れ歯が見つからない場合
2,3日経過してしまうと、残念ながら見つかる可能性はゼロに近くなります。
ゴミとして回収されてしまったか、もしくはトイレに流してしまっている可能性も高まります。
この場合は…新しい入れ歯を作製することになります。
(家族や本人が希望しなかったり、口が開かず治療ができない、嚥下障害と呼ばれる飲み込みの状態の良くない場合は作製できないこともあります)
前の入れ歯を作ってから6ヶ月経たないと新しい入れ歯は作製できない
日本の公的医療保険では、新しい入れ歯は前の入れ歯が完成した日から6ヶ月が経過しないと、基本的に作製することができないルールとなっています。
そのため6ヶ月以内に紛失してしまうと自費で作りなおすか、6ヶ月過ぎるまで待つしか基本的には方法がありません。
紛失ではなく修理や調整の場合は保険を適用できます。とにかく存在をなくさなければ大丈夫です。
ですので、最初の半年は特に注意して見守るようにしてくださいね。
>>参考:入れ歯の6ヶ月ルールとは?入れ歯を新製するときに注意してほしいこと。
老人ホームのような介護施設で紛失してしまうと、弁償となることもあります。
保険に加入していることが多いので、この場合、実費負担はありませんが、家族やホーム長に怒られてしまうかもしれません。
入れ歯の紛失を防ぐ対策【自宅・介護施設・病院で共通】
紛失するタイミングというのは限られています。
次の3つのタイミングで入れ歯の有無を確認すると、紛失防止にもなり万が一なくなったときでも、捜索が容易になります。
詳しくは入れ歯(義歯)の紛失を予防する方法【すぐにできる対策】で解説しています。
特に認知症の方への注視は必要です。
食事後
ちゃんと口の中に入っているか確認しましょう。お盆や食器に紛れていませんか?
1日3回(おやつがあればもっと)確認するタイミングがあるので、有効な紛失防止になります。
睡眠前
入れ歯ケースに入っているか確認しましょう。このとき入れ歯洗浄剤を使う習慣があるとチェックしつつ、入れ歯もきれいになります。
万が一なくても、食事後で確認しておけば捜索範囲はしぼられるので、口の中、バック、ベッド周り、ゴミ箱を捜索しましょう。
退院直後
退院の後は入れ歯の管理に注意しましょう。
入院により身体の状態変化していると、今まで予想もできなかった行動を起こすことがあります。
この3つのタイミングでの確認は、行動範囲も限定できるので有効です。見逃さないように気をつけてくださいね。
入れ歯の紛失を繰り返すことも…
紛失した入れ歯は、「まさか!」と思う場所にあったりします。焦らず探してみてください。
入れ歯の紛失を繰り返す場合は、認知症がすすみ、自分での管理が難しくなっている場合があります。
日々の行動を注意してあげてください。
無事に見つかることを祈っています!今回は以上です。
✔︎【予防と対策 入れ歯の紛失予防】
✔︎【入れ歯の6ヶ月ルールについて】